仕事中に有料道路を使う場合、会社から通行料金を返金してもらうには領収書が必要です。しかし、ETCを利用して通行料金を自動精算すると、領収書は発行されません。
では、領収書を入手するには、現金で通行料金を支払うしかないのでしょうか。
実は、ETCカードを使って通行料金を支払う場合、領収書の代わりとなる「利用証明書」を入手することができます。
このページでは、利用証明書を入手する方法について紹介します。
領収書の代わりとなる利用証明書とは
利用証明書とは、有料道路を「利用したこと」を証明する書類です。一方、領収書は「料金が支払われたこと」を証明する書類です。
ETCカードを使って通行料金の精算手続きをした場合、通行料金は後日指定した銀行口座から引き落とされることから、料金所で領収書を発行してもらうことはできません。この場合に発行できるのは、利用証明書です。
利用証明書には、領収書と同じく入り口と出口の料金所の名称、ETCカードを使って料金を精算した日付と時間、通行料金などが記載されます。そのため、仕事中に有料道路を使い、会社に通行料金を返金してもらう際、領収書の代わりの書類として利用証明書を使用することができます。
利用証明書を入手する2つの方法
では、利用証明書を入手するにはどうしたら良いのでしょうか。それには「ETCを利用して有料道路に入り、料金所で利用証明書を入手する方法」と「ETCを利用せずに有料道路に入り、料金所で利用証明書を入手する方法」の2つがあります。
ETCを利用して有料道路に入り、料金所で利用証明書を入手する方法
まず、ETCを使用して有料道路に入り、出口の料金所で利用証明書を入手する方法について説明します。
この方法では、ETC専用もしくはETC・一般の混合レーンの入口からETCを利用してノンストップで有料道路に入ります。そのため、ETCカードの他、車載機が必要です。車載器とは、ETCシステムと無線通信するための機器です。
出口では、料金所のあるETCレーンもしくは一般・ETC混合レーンを選びます。そして、車載機からETCカードを抜き取り、窓口の係員に手渡します。すると、係員はETCカードを使って通行料金の支払い手続きを手動で行い、ETCカードの返却の際、利用証明書も一緒に渡してくれます。
一般・ETC混合レーンの出口を利用する場合、ETCカードを車載器に入れた状態で出口に近づくと自動でETCによる決済が行われ、利用証明書をもらうことができなくなります。そのため、パーキングエリアやサービスエリアなどで事前にETCカードを車載器から抜き取っておくと良いでしょう。
ETCを利用せずに有料道路に入り、料金所で利用証明書を入手する方法
次に、入口でETCを利用せず通行券を取り、出口の料金所で利用証明書を入手する方法について説明します。
この方法では、ETCを使わずに一般もしくは一般・ETCの混合レーンの入口で発券機から通行券を取り、出口の料金所で通行券とETCカードを係員に手渡します。この方法であればETCは全く使わないため、車載器は必要ありません。
すると、係員は上述の方法と同様にETCカードを使って手動で料金の決済手続きを行い、利用証明書を添えてETCカードを返却してくれます。
なお、「スマートインターチェンジ」の場合、係員が配置されていないことから利用証明書は発行できません。
スマートインターチェンジとは、有料道路の本線上またはサービスエリア、パーキングエリアから有料道路に乗り降りができるように設置されたインターチェンジです。支払いはETC通信のみであり、その他の料金収受の機能がありません。
また、有料道路の一部には、入り口で料金を精算するところや料金精算機で料金を精算するところがあります。その場合、ETCカードを使って手動で通行料金の決済手続きを行えば、利用証明書を入手することができます。
通行料金の割引を受けるには、入り口でETCの利用することが条件
ETCカードを使って料金を支払い、利用証明書を入手する場合、気をつけておきたいのがETC利用者向けの通行料金の割引サービスです。
ETCの割引サービスには、例えば、平日の朝夕割引として最大50%引き(適用に事前登録が必要)、深夜として割引約30%引き、休日割引として約30%引き(指定された一部の都市部は除く)などがあります。
料金所でETCを利用せず、ETCカードを係員に手渡して通行料金の決済手続きを行った場合でも、入口でETCを利用してノンストップで有料道路に入った場合は、この割引の適用となります。しかし、入口で発券機から通行券を取って有料道路に入ったのであれば、ETCを全く利用していないことから割引の適用となりません。
仮に、料金所で係員に「ETCを使って有料道路に入ったのに、出口で間違えて一般レーンに来てしまった」と言っても、ETCカードに入口の情報が書き込まれていないことから、ETCを利用していないことは簡単にバレます。
したがって、ETCの通行料金の割引サービスを受けるには、必ずETCを利用して有料道路に入ることが必要です。
領収書の代わりとなる、その他の書類とは
ETCカードで通行料金を支払った場合、ETCカード会社発行の「利用明細書」「請求明細書」、利用照会サービスやETC利用履歴発行プリンターを使って自分で発行する「利用証明書」も領収書の代わりとして使用することができます。ここからは、それぞれについてみていきます。
クレジット会社が発行する「利用明細書」「請求明細書」
ETCカード会社が発行する利用明細書・請求明細書には、ETCカードの利用日、金額、利用区間などが記載されています。そのため、これらの書類も領収書の代わりとして使用することができます。
ただ、利用明細書・請求明細書の発行はETCカードを利用した月の翌月もしくは翌々月となることから、勤め先の会社によっては経費を精算するには遅すぎる場合があります。
また、利用明細書・請求明細書にはプライベートで使用したETCカードの履歴情報も含まれるため、会社への提出に抵抗を感じる人もいるかもしれません。
利用照会サービスを使って自分で発行する「利用証明書」
ETC利用照会サービスとは、過去15ヶ月間のETCカードの利用履歴を確認できるwebサービスです。この利用照会サービスを利用すれば、ETCカードの利用履歴の中から利用証明書として使いたい履歴を指定して、発行することができます。
このサービスを使って利用証明書を発行するには、まず登録を行う必要があります。登録手続きは、過去15ヶ月以内に1回以上ETCカードを利用して通行料金を支払っている場合に行うことができます。
利用照会サービスに登録するには、「ETCカード番号」「ETCカードを利用した日付(1回分の日付で良い)」「ETCカード利用時に使用した車載機の管理番号」「ETCカード利用時に使用した車の車両番号の下4桁」の入力が必要です。一旦登録してしまえば、登録した車以外を使った場合でも利用証明書を発行することができます。
登録に必要な情報を入力した後、データ構築のため登録完了までに約4時間かかります。登録後、すでに利用履歴の中に利用証明書として発行したいものがある場合、履歴の中から指定して発行することができます。
新たにETCカードを利用して利用証明書を発行する場合、利用証明書の発行が可能となるのはETCを利用した4~5時間後となります。ETCカードを利用したデータがETC利用照会サービスに反映されるには時間がかかるからです。ただ、一部の有料道路では、データの反映が利用の翌日もしくは翌々日になることがあります。
下の画像のように発行した利用証明書には、車のナンバーや車載器管理番号は記載されません。
なお、利用照会サービスへの登録は、レンタカーなどの他人の車でもできます。登録時に「車載機の管理番号」「車両番号の下4桁」を入力するのは、利用履歴として申告した情報と実際の利用データを照合するためです。
「車載機の管理番号」「車両番号の下4桁」は、利用データの特定にあたり必要となります。したがって自分の車載器や車の番号でなくても登録は可能であり、問題ありません。
とはいえ、レンタカーや他人の車での登録は気になるかもしれません。その場合、利用証明書を発行した後で登録を一旦削除しれば、自分の車で登録し直すことができます。
ただ、登録し直した場合、新たにデータ構築を行うため登録完了までに約4時間かかります。
ETC利用履歴発行プリンターを使って自分で発行する「利用証明書」
自宅でインターネットができない場合もしくはプリンターがない場合、サービスエリアやカーショップなどにおいてある「利用履歴発行プリンター」を使って利用証明書を発行することができます。このプリンターは無料で利用することができます。
利用履歴発行プリンターを利用すれば、ETCカードで通行料金を精算した直後から利用証明書の発行が可能です。利用履歴発行プリンターは、ETCカードに書き込まれたデータを直接読み取ることができるからです。
ただ、サービスエリアによっては、プリンターが置いてなかったり、利用できる時間が決まっていたりする場合があります。プリンターの設置の有無や利用時間は、道路事業者のホームページで確認することができます。例えば、山陽自動車道にあるサービスエリアの情報は、NEXCO西日本のホームページに掲載されています。
一方、カーショップについては利用履歴発行プリンターを設置しているところが少なく、利用しにくいのが現状です。2016年10月現在、利用履歴発行プリンターを利用できるのは関東・関西エリアのオートバックスの一部の店舗です。
関東地区 | 関西地区 |
スーパーオートバックスTOKYOBAY東雲 | オートバックスセブン東大阪 |
スーパーオートバックスMITAKA | オートバックス金岡店 |
スーパーオートバックス横浜みなとみらい | スーパーオートバックス・豊中庄内 |
オートバックス三郷店 | スーパーオートバックス43道意店 |
オートバックス高井戸店 | スーパーオートバックス京都伏見 |
スーパーオートバックスかわさき | |
スーパーオートバックス足立 | |
スーパーオートバックスTODA | |
オートバックス練馬店 | |
スーパーオートバックス市川 |
カーショップを利用して利用証明書の発行を考える場合は、直接カーショップに確認してみることをおすすめします。
このように、ETCカード会社が発行する利用明細書・請求明細書やETC利用照会サービス・利用履歴発行プリンターを使って自分で発行する利用証明書も、領収書の代わりとして使用することができます。
ただ、ETCカード会社が発行する利用明細は、発行までに時間がかかります。また、プライベートで利用した情報も含まれます。ETC 利用照会サービス・利用履歴発行プリンターを使って自分で発行する利用証明書の場合は、発行に手間がかかります。
そのため、領収書の代わりとして勤め先に提出する書類は、料金所でもらえる利用証明書のほうが使用しやすいでしょう。
まとめ
このページでは、ETCカードを使って通行料金を支払い、領収書の代わりとなる「利用証明書」を入手する方法について紹介しました。
利用証明書は、料金所で係員にETCカードを手渡し、ETCカードで通行料金を支払った場合に入手することができます。この場合、入口は一般レーン、ETCレーン、一般・ETCの混合レーンのいずれを利用しても問題ありません。
ただ、入り口で発券機から通行券を取って有料道路に入った場合、ETCを全く利用しないことから、ETC利用者に対しての通行料金の割引サービスは適用外となります。
また、料金所で入手できる利用証明書以外にも、領収書の代わりとしてETCカード会社が発行する利用明細書・請求明細書、ETC 利用照会サービス・利用履歴発行プリンターを使って自分で発行する利用証明書を利用することができます。
ただ、ETCカード会社が発行する利用明細は、翌月もしくは翌々月に発行されるので、会社に提出するまでに時間がかかります。
ETC 利用照会サービス・利用履歴発行プリンターを使って自分で発行する利用証明書は、事前に登録が必要だったり、サービスエリアやカーショップに行かなければならなかったりするなど、発行に手間がかかります。
そのため、会社に提出する領収書の代わりの書類としては、料金所で手軽に入手できる利用証明書を使用することをおすすめします。